熊避け鈴の製造現場のご紹介|ブラスワン

~ 製造工程のほとんどが手作業です ~

< 生産性より品質を選びました >
最高のレシピと最高の材料があっても、調理の仕方(腕)によって仕上がりも千差万別。 同じように、どんなに良い共鳴デザインを設計しても、具現化できる製法がないとデザイン通りの共鳴が得られません。
私たちが選んだ製法は、「砂型製法」と呼ばれ、その昔、大仏を作った製法と原理は同じで、古くから使われてきた製法の現代版になります。
本当の現場をありのままご紹介します。
赤々と溶解した金属は1000℃を超え、
品質基準を死守する鋳造工程は神経をとがらせ、
金属粉にまみれて行う手作業の仕上げは、全身煤だらけになります。
「ほんの一部でもご理解頂けたら」と思い公開しました。

生地を流し込む<砂型>を作ります

砂型の写真

溶解した金属を形作る【型】を砂で作ります。
プリンやゼリーを作る時は金型のカップへ生地を流し込んで作ります。、ベルを作るのも同じで、溶解した真鍮を流し込む【型】が必要になります。この【型】を砂で作ります
季節や日によって気温や湿度は毎日違います。砂型の精度を均一にするために、粘結剤や水分量を調整します。ここが職人の経験と勘が必要とされる重要な部分です。

砂型の内部

砂型の写真 凹型と凸型を上下に合わせてひとつの【型】になります。
①砂の中に、一旦、【ベルの型】を埋め込みます。
②次に、砂の中から【ベルの型】を取り出すします。そうすると砂にベルの形の凹ができます。
③この凹んだ砂の中へ、溶解した真鍮を流し込みます。
④真鍮が冷え固まったら、砂型を壊して、中からベルを取り出します。

積み上げられた砂型

砂型の写真 見た目は「砂に埋もれたブロック」ですが、
砂型の中は、ベルの形をした空洞になってます。

窯にインゴットを入れて、1300℃まで温度を上げます

これがインゴット

溶鉱炉の写真 真鍮は、銅と亜鉛の合金。

その配合比率によって、合金になったときの硬さや弾力性が変わってきます。

配合は企業秘密です。

材料の真鍮を溶かす準備。

溶鉱炉の写真 インゴットを熔解していきます。

約2時間、炎の調節をしながら、ゆっくり溶かしていきます。

火の色は緑やオレンジなど、めったに見かけない炎の色彩が綺麗です。

鋳込み直前

溶鉱炉の写真 成分をせきるだけ均一に保つように、ときどきかき混ぜます。

地球上では、重力が働くので、どうしても比重の重い物(銅成分)は下の方へ、軽いもの(亜鉛成分など)は上の方へ成分の不均衡が起こりがち。 細かいことですが、品質を保つためには、非常に重要な作業のひとつです。

メインイベント 真っ赤に溶解した金属を砂型へ流し込みます

鋳込みの写真

空気が入らないように、注意しながら丁寧に流し込んでいきます。
早すぎず、遅すぎず、砂型の隅々に溶解した真鍮が行き渡るように細心の注意が要求されます。 見た目に同じベルであっても、気泡が混じったりすると、金属組織が粗く非常に「鳴りの悪いベル」になります。 同じブランドのベルであっても、下請け工場が変わったりすると音が変わったりします。 その原因が、鋳造技術であり、上記内容の差が出てくるからです。

ジックリと冷却し、砂型を壊してベルを取り出します

成形前の写真

鋳込まれたベルは、規定の範囲内で冷却されます。「ゆっくり冷ますか?」、それとも、「素早く冷ますか?」この違いによって金属組織(肉質)が決まります。
この金属組織は非常に重要で、「音の良し悪し」を決定づけるシビアな部分です。
十分冷めてから、砂型を壊して中からベルを取り出し、これを全て手作業で綺麗に仕上げていきます。
まずは、下地処理を行いベル全面を綺麗に整えます。この段階での処理が甘いと磨き作業が綺麗に仕上がりません。

砂を落して、ガサガサのベルを綺麗な形に整えます

ベルの成形後の写真

砂型から取り出したベルの砂を落します。
イメージとしては、大型洗濯機みたいな機械で、グルグルまわして砂を落します。
砂を綺麗に落しすと、まだ、ベルの形はガサガサ(バリなど)です。これを綺麗なベルの形に整えます。 ここは、最先端のNC加工機と呼ばれるコンピュータ制御の機械を使います。デザイン通りの形状になるように余分な部分を削ってベル本来の形に仕上がります。

ピカピカの鏡面研磨をひとつひとつ手作業でバフ掛け

ベルのバフ研摩後の写真

ようやくベルらしい形になってきました。
真鍮特有の光沢は、バフという機械で手作業にて磨いていきます。「ピカピカ」のベルは、このバフ掛けという作業を行うことで初めてできます。
防埃マスクを着用しての作業ですが、「鼻の穴は真っ黒」になります。ジミですが真鍮特有の輝きを生み出す大切な作業になります。

吊り具のリングを通す駒に穴を開けます ここも手作業

ベルの穴あけの写真

ベルを下げるためのリングを通す穴を開けます。
ベルを固定する「チグ」にベルを固定し、ボール盤と呼ばれる「ドリル」で穴を開けます。
単調な作業に見えますが、真っ直ぐに穴を開けるのは、意外に難しいです。 冶具でベルを固定しますが、ドリルの歯は正直で、力のかけ具合で不意に曲がっておくこともシバシバあります。

    

ようやく完成

熊よけ鈴の写真

機械化できる部分は、少なく、ほとんどが手作業で作られてます
ベル本体が完成したら、全ての個体を音質検査(音程・音量を測定機にて確認)を行い、めでたく完成。 ここで、それぞれの基準値に満たない物は、全て除外されます。
そして、吊り具(カラビナ・革ベルトなど)を取り付けて、熊避け鈴として完成します。

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